2009 Fiscal Year Annual Research Report
ササラダニ類の性に関する研究-樹上と土壌の比較によるアプローチ-
Project/Area Number |
21770024
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
唐澤 重考 Fukuoka University of Education, 福岡教育大学・教育学部, 准教授 (30448592)
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Keywords | 進化 / 生態 / 土壌動物 / ササラダニ |
Research Abstract |
土壌性と樹上性のササラダニ類の特性を比較し、樹上性ササラダニ類の適応的特性を明らかにすることを目的として、平成21年度は以下の3点のことを行った。1)土壌性、樹皮性、枝葉性ササラダニ相を解明する目的で、北部九州のスダジイ、アラカシ、スギの枝葉、スダジイ、クスノキ、スギの樹皮、および、常緑広葉樹林の土壌からササラダニを抽出し、プレパラート標本を作成し、生物顕微鏡レベルにて種同定を行った。全ての標本の同定は終了していないが、100種程度が採集された。 2)これまでササラダニ類からDNAを抽出する場合、個体を丸ごと潰して実験を行っていた。しかし、この方法では抽出後、種同定の確認が出来ないため、証拠標本を残したDNA抽出法を確立する必要がある。そこで、タンパク質分解の時間を長くすることで、体長が1mm以下であるササラダニから、証拠標本を残しままDNAを抽出する方法を確立した。また、この方法によって抽出したDNAを用いて、ミトコンドリアDNAのCOI領域、および、核DNAの18S領域の増幅を約20種50個体を対象に行い、種レベルの解析に有用であることを確認した。3)ササラダニ類の単為生殖の生態的時間スケールの適応的意義は未だに不明である。そこで、「有性生殖種よりも撹乱後の新しい環境へ早く定着する」という仮説を検証するため、スダジイとクスノキの落葉を一度乾燥させ動物を除去した後、メッシュ袋に入れ林床に設置し、ササラダニの定着過程を調べる実験を行った。平成21年6月に設置後、平成21年7月、9月、12月、平成22年3月に落葉を回収し動物を抽出した。
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