2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770026
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 誠司 University of the Ryukyus, 理工学研究科, 博士研究員 (10452963)
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Keywords | 群集生態 / メソコズム実験 / 個体間相互作用 / 帰無モデル解析 / 潮間帯魚類 / 群集形成 / タイドプール / ランダム |
Research Abstract |
平成21年度は、実験装置の作成と野外調査を主におこなった。実験装置は、いくつかの問題点を改良して完成に至り、4月から本格稼働の予定である。野外調査は、群集動態の定期観察をスタートさせ、操作実験のための定点を設置することができた。それぞれの詳細を次に記す。 実験装置としてメソコズム水槽を作成した。これは、群集形成における個体間相互作用と環境の影響を検討するために適した装置である。1.5m×1.5m×0.6mの水槽を8ユニット作成し、室内に配置した。各ユニット内にはタイドプールを模した容器を10個設け、水中ポンプを用いて潮汐環境を再現した。ハゼ類とイソギンポ類を用いた試験運用の結果、一部の供試魚が隙間に入り込むことがあったため、砂袋やビニールテープを使って隙間を塞ぐ改良を加えた。また、鳥の糞害、照度の確保に対応するため、照明付きの屋根を設置した。 野外調査は、沖縄島の大度、備瀬、石垣島の浦崎、山原、真栄里の5地点で実施した。それぞれの調査地で40個のタイドプールを選択し、内部の全魚類をタモ網で採集し、群集サンプルとして解析、保存した。次に、沖縄島の備瀬海岸で操作実験用のタイドプール90個を定め、操作前の予備調査を開始した。2ヶ月ごとの大潮干潮時に目視観察をおこない、各タイドプール内に出現する魚種、個体数、推定体長を記録した。同時に、ロガーを用いて水温と照度を5分おきに記録し、ひき始めと満ち始めにはDO、pH、塩分を測定した。 昨年度までの事前調査と今年度の野外調査を統合した結果、実験に用いる予定のハゼ科3種の個体数に年変動が見られた。このため、実験に必要な安定した個体数を確保するため、1、2種をハゼ科以外の優占魚種(クサギンポ、タマギンポ、ホホグロギンポなど)と入れ替えることを検討中である。
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