2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770026
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 誠司 琉球大学, 理工学研究科, 博士研究員 (10452963)
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Keywords | 群集生態 / メソコズム実験 / 個体間相互作用 / 帰無モデル解析 / 潮間帯魚類 / 群集形成 / タイドプール / ランダム |
Research Abstract |
平成22年度は、メソコズム実験と群集動態調査を実施した。予定していた野外操作実験は、実験予定地の環境撹乱のため、実行できなかった。また、実験解析手法を含む群集形成・共存機構に関する論文を発表した。実験および調査の詳細を以下に記す。 1、メソコズム実験 琉球列島のタイドプールに優占するスジクモハゼ、クサギンポ、ナンヨウミドリハゼの3種を対象とし、6月から10月に実験をおこなった。均一環境下において単独個体、単一種、二種混合、三種混合での空間利用パターンを調べた(それぞれ、3、3、3、1の組合せ数を実施)。各組合せについて8回から12回の反復データを観測し、一回につき10日間昼夜連続で観察した。その結果、各種の行動および空間利用パターンが異なることを明らかにし、単一環境下における種内/種間相互作用の影響を検出した。一方的な強い排他行動もみられ、スジクモハゼの成長が良かったのに対し、そのほかの2種(特にクサギンポ)は成長も悪く、途中で死亡に至る場合もあった。また、単一種の時に比べると複数種の時に同種で集合する傾向が3種に共通してみられた。 2、群集動態調査 7-8月に沖縄本島(備瀬、瀬底)、石垣島(御神崎、大浜)、宮崎県日南海岸(富土)および熊本県天草西海岸(富岡)で、群集調査を実施した。各地で40から90個のタイドプールを選定し、プール内の魚類を採集または目視観察し、出現種、個体数、サイズを記録した。群集構造の地域差に対する海流の影響に着目した解析を進めており、論文にまとめている段階である。 次年度以降も九州から琉球列島における群集調査を継続し、操作実験およびメソコズム実験については対象を温帯種に移して実施する予定である。
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