2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21770026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新垣 誠司 九州大学, 理学研究院, 助教 (10452963)
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Keywords | 群集生態 / メソコズム実験 / 個体間相互作用 / 帰無モデル解析 / 潮間帯魚類 / 群集形成 / タイドプール / ランダム |
Research Abstract |
平成23年度は、メソコズム実験と群集動態調査を実施した。実験結果をもとに帰無モデル解析を行い、空間利用を巡る個体間相互作用について国際学会で発表した。また、生息地への選択性と種間相互作用に関する論文を投稿した(改訂中)。一方、野外操作実験は、実験予定地で対象種3種のうち2種が激減したため、実行できなかった。実験および調査の詳細を以下に記す。 1、メソコズム実験九州西海岸のタイドプールに優占するクモハゼ、アゴハゼ、ドロメの3種を対象とし、6月から9月に実験をおこなった。均一環境下において単独個体、単一種、二種混合、三種混合での空間利用パターンを調べた(それぞれ、3、3、3、1の組合せ数を実施)。一回の観察期間は8日間とし、昼夜連続で観察した。複数個体区の組合せは各1回試行、単独個体区は12回から15回反復して観測した。その結果、アゴハゼとドロメの単一種区において、単独個体時の行動をもとにしたランダムなパターンと異なる顕著な集合を示すことがわかった。さらに、複数種区では利用するタイドプールの数を増やし、多種との重複を減らす傾向があることがわかった。これらの結果は、単一環境下における空間利用の際に、種内/種間相互作用の影響があることを示している。また、直接的な強い排他行動は見られなかったが、種の組合せによって成長に正負の影響が見られた。 2、群集動態調査沖縄本島(7月:古宇利島、砂辺)および熊本県天草西海岸(通年:富岡)で、群集調査を実施した。各地で30から90個のタイドプールを選定し、プール内の魚類を採集または目視観察し、出現種、個体数、サイズを記録した。群集構造の地域差に関する解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異動に伴い、対象種と調査地を変更したため、研究進行に若干の影響があったが、メソコズム実験も軌道に乗り、結果を順調に得ることができている。加えて、一部成果の公表(論文、学会発表)も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度は、異質環境下でのメソコズム実験を中心に実施する。今年度と併せて全ての実験結果が出そろうので、解析とまとめを精力的に進めて行きたい。野外操作実験に関して、一部対象魚が激減しており密度の操作が困難なため、当初予定していた実験ではなく、環境改変によって個体群密度が変化・回復するか(加入期の生息地の重要性)を実験的に検証する。
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