2011 Fiscal Year Annual Research Report
自然生態系におけるアンモニア酸化アーキアの二酸化炭素固定に関する分子生態学的研究
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21770028
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中川 達功 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (40434104)
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Keywords | アンモニア酸化性アーキア / 二酸化炭素固定 / Acetyl-CoA-Carboxylase / 硝化 / 4-Hydroxybutyryl-CoA dehydratase / 安定同位体DNAプローブ法 / 密度勾配遠心分離法 / 古細菌 |
Research Abstract |
自然生態系におけるアンモニア酸化性アーキアの二酸化炭素固定の解明のため、平成23年度の研究計画では、安定同位体DNAプローブ法を用い海洋や土壌中の難培養性アンモニア酸化アーキアの二酸化炭素固定能を解明することを目的とし、次の実験を実施した。実験1)安定同位体の重い重炭酸ナトリウムを用いたインキュベーション実験と遺伝子定量解析試料。実験2)炭酸固定遺伝子の解析。実験1では安定同位体的に重い炭酸と軽い炭酸で別々に培養したアンモニア酸化アーキアNitrosopumilus sp.NM25株を用い、スイング型の超遠心と水平型の超遠心法の比較実験を行った結果、スイング型の超遠心では明瞭な^<13>C-DNA)と^<12>C-DNAのバンドの分画が認められたが、水平型の超遠心法ではバンドの分画は認められなかった。この結果より、環境試料の分析に求められる水平型の超遠心法の適応化には追試が必要であることが明らかとなった。実験2ではアンモニア酸化アーキアの炭酸固定遺伝子の解析を行うため、Nitrosopumilus sp.NM25株と環境試料(アマモ群落の砂)を対象に炭酸固定遺伝子Acetyl-CoA-Carboxylase遺伝子(accA)と4-Hydroxybutyryl-CoA dehydratase遺伝子(hcd)のPCR検出と塩基配列の解読を実施した。その結果、Nitrosopumilus sp.NM25株からはaccAとhcdの両遺伝子が検出されたが、環境試料からはバクテリアのaccA遺伝子も検出された。この結果より、環境試料を対象としてアンモニア酸化アーキアの炭酸固定遺伝子を調査する際はhcdのPCR検出が妥当であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響により、超遠心実験に遅れが認められるが、遺伝子解析実施は順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
水平型の超遠心法を用いた安定同位体DNAプローブ法の環境試料への適応には充分な追試が必要と考えられる。そのため、来年度は本年度研究が進んだ炭酸固定遺伝子4-Hydroxybutyry1-CoA dehydratase遺伝子)hcd)を分子指標と用い、環境中のhcd遺伝子発現量の定量化に重点を置く。その際に、コントロールとして既存の分離株や集積菌のアンモニア酸化アーキアを用い、hcd遺伝子やamoA遺伝子の発現量の定量化の技術確立を試みる。
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Research Products
(1 results)