2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770029
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
土田 努 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 基礎科学特別研究員 (60513398)
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Keywords | 植物適応 / エンドウヒゲナガアブラムシ / 共生微生物 / 遺伝子発現ネットワーク |
Research Abstract |
本研究課題では、エンドウヒゲナガアブラムシの寄主植物適応が内部共生細菌Regiellaの感染によって変化するという現象を対象として、分子生物学や生態学、組織学、栄養生理学といった様々な手法を駆使し、本現象に関与する物質の実体やその機構を明らかにすることを目的としている。 今年度は、昨年度に引き続き,植物適応が共生細菌のどのような体内動態によって生じるのかを定量PCRによって確認した。その結果、Regiellaに感染すると、カラスノエンドウを餌にしたとき必須の共生細菌Buchneraの存在量が著しく減少するのに対し、シロツメクサを餌にした場合はほとんど減少しないという結果が観察された。この結果は、Regiella感染による植物適応は、Regiella単体の機能によって賦与されているわけではなく、共存する必須の共生細菌Buchneraとの複雑な相互作用によって生じていることを示唆する。この可能性を検証するためには、植物適応の際に、現在Regiella, Buchnera,そして宿主エンドウヒゲナガアブラムシで発現する遺伝子とそのネットワークを網羅的に調べる必要がある。幸い、本共生システムにおいては、必須の共生細菌Buchneraおよび宿主であるエンドウヒゲナガアブラムシの概要ゲノム配列が公表されている。そこで我々の研究グループでは、残る共生細菌Regiellaについてもショットガンシーケンス法によってそのゲノム配列の決定に取り組んでいる。さらにゲノム解析と平行して、植物適応の際に変化する3者の遺伝子発現についての解析をRNA-seq法を用いて行った。
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Research Products
(5 results)