2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン免疫沈降法を利用した葉緑体転写制御機構の解析
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21770034
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
華岡 光正 Chiba University, 大学院・園芸学研究科, 特任准教授 (30508122)
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Keywords | 葉緑体 / 転写制御 / ChIP / 転写因子 / 環境応答 / シロイヌナズナ / 色素体分化 / シグマ因子 |
Research Abstract |
本研究では、クロマチン免疫沈降法(ChIP法)を植物の葉緑体研究に導入・展開し、葉緑体遺伝子の転写制御をin vivoで再現性良くモニターできる解析系の構築を目指し、本年度は以下の研究を行った。 1.これまでシロイヌナズナの葉緑体転写制御研究にChIP法を利用した例がないため、解析系の立ち上げを集中的に進めた。具体的には、(1)DNA-タンパク質複合体の固定、(2)細胞全抽出物の調製、(3)特異抗体を用いた免疫沈降、(4)熱処理による複合体の解離、(5)DNA精製とqPCR法による定量、の各段階で実験条件の検討と最適化を行った。モデル系として、既に抗体が準備済みであり、かつターゲットのプロモーター(psbA, psbD BLRP)が明らかにされているSIG5による転写制御を中心に解析を進めた。その結果、既にSIG5のターゲットとして確認されていたpsbAやpsbD BLRPに加え、新たにpsaABやpsbBTプロモーター領域にもSIG5が特異的に結合していることを明らかにした。この結果は、SIG5が特にストレス条件下でPSI、PSII両光化学系複合体の反応中心タンパク質の発現に関与していることを示唆しており、また、ChIP解析を行うことで初めて発見されたという点で、解析系の高い有効性も示された。 2.ChIP法を用いる最大の利点の一つは、欠損株が得られないような必須転写因子のターゲットやその環境応答などにおける役割をin vivoで直接的に示すことができることである。葉緑体で機能する転写因子のうち、例えばシグマ因子SIG1は必須因子でありこれまでその機能解析が難航してきた。そこで、ChIP法によりその役割を明らかにするため、特異抗体の作製とC末端にFLAGエピトープタグを付加したタンパク質を発現する形質転換株の構築を並行して進めた。1.で解析系そのものの最適化も確認できているので、次年度は必須転写因子、機能が重要視されている調節因子の解析を本格的に展開する。
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Research Products
(12 results)