2010 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン免疫沈降法を利用した葉緑体転写制御機構の解析
Project/Area Number |
21770034
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
華岡 光正 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 特任准教授 (30508122)
|
Keywords | 葉緑体 / 転写制御 / ChIP / 転写因子 / 環境応答 / シロイヌナズナ / 色素体分化 / シグマ因子 |
Research Abstract |
本研究では、クロマチン免疫沈降法(ChIP法)を植物の葉緑体研究に導入・展開することで、葉緑体の転写制御をin vivoでリアルタイムにモニターできる解析系の開発と利用を目的としており、本年度は以下の研究を行った。 1.前年度までに一定の立ち上げが完了したChIP法による実験系を利用して、シロイヌナズナ葉緑体におけるシグマ因子の機能解析を行った。まず、様々な環境ストレスに応答するシグマ因子SIG5とその標的遺伝子との関係を調べ、SIG5のターゲットとして既に知られているpsbAやpsbD BLRPに加え、新たにpsbBTなどのプロモーターにもSIG5が特異的に、かつストレスに応答して結合することを見いだした。また、シロイヌナズナでは必須のシグマ因子であるSIG1についても同様に解析を行い、イネでSIG1の標的として報告されているpsaABプロモーターなどへの特異的な結合を確認することができた。以上の結果は、ChIP法が葉緑体の転写制御研究において有用であることを示しており、さらにChIP解析を行うことで初めて発見されたという点でも高い重要性を持つと考えられる。 2.植物の様々な生理応答に関わる遺伝子発現制御の研究にChIP法を幅広く導入することを目指し、非光合成色素体分化に関する研究を進めた。既にタバコBY-2細胞で示されている知見をもとに、シロイヌナズナT87細胞においても培地中に添加する植物ホルモンを置換することで、原色素体からアミロプラストへの分化誘導系の構築に成功した。また、このアミロプラスト分化には色素体の転写・翻訳活性が必要であること、またその制御に何らかのプラスチドシグナル伝達系が関与する可能性が示された。このような色素体分化における転写制御機構の理解においても今後ChIP法を利用した解析系が有効であると期待される。
|
Research Products
(24 results)