2010 Fiscal Year Annual Research Report
補償作用に見られる細胞の大型化におけるプロトンポンプ機能制御の役割
Project/Area Number |
21770036
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
FERJANI Ali 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (20530380)
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Keywords | 葉器官サイズ制御 / 細胞増殖 / 細胞伸長 / fugu5変異体 / 補償作用 |
Research Abstract |
葉のサイズ制御機構を理解するためには、補償作用の理解が鍵である。補償作用とは、葉原基において細胞増殖活性が低下すると、個々の細胞が大型化する現象である。今年度は、ショ糖とFUGU5との関係をさらに解析した。 1.fugu5変異体ではピロリン酸の異常な蓄積により細胞分裂が抑制されているのか? fugu5変異体におけるβ-酸化活性及び、暗所発芽個体における貯蔵脂質の経時変化を調べたところ、fugu5はいずれも正常であった。しかしショ糖非存在下で暗所生育したfugu5変異体は、胚軸伸長が著しく阻害されており、これはショ糖投与により回復した。全ての結果を合わせると、種子発芽時に過剰蓄積するPPiによるショ糖生合成の阻害が、fugu5における細胞増殖の阻害の主要因と考えられる。これはシロイヌナズナを用いてH^+-PPaseの役割を明らかにした初の知見であり、現在、論文にまとめて投稿中である。 2.補償作用で見られる細胞の大型化はどのように起こるのか? (1)マイクロアレイ解析から、fugu5変異体において発現量が変動している12遺伝子の内5遺伝子について、T-DNA挿入変異系統の表現型を解析した結果、葉細胞の数やサイズに異常のないことが判明した。 (2)fugu5-1変異体の種子に重イオンビームを照射し、表現型が野生型に回復、またはfugu5-1に見られる細胞肥大が抑制ないし促進される変異体を、それぞれ多数単離することに成功した。現在、原因遺伝子の同定を進めている。 3.液胞サイズと細胞サイズの関係:植物の液胞膜のプロトンポンプの役割 補償作用を示す変異体群とV-ATPaseの機能欠損型変異体であるdet3-1との二重変異体を作成し解析したところ、補償作用がV-ATPase活性に依存するものとしないものとがあることが、判明した。今後さらに、補償作用と液胞との関係について解析を進める。
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Research Products
(6 results)