2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の切断をうけて機能するAtNFXL1による植物の新規防御応答機構の解明
Project/Area Number |
21770038
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅野 智哉 金沢大学, 学際科学実験センター, 博士研究員 (00377409)
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Keywords | シロイヌナズナ / AtNFXL1 / MKD1 / トリコテセン / 病害抵抗性 / ムギ類赤かび病菌 |
Research Abstract |
atnfxl1変異体を用いてムギ類赤かび病菌に対する病害抵抗性を調べたところ、atnfxl1変異体は野生型と比較して抵抗性が増加した。そして、AtNFXL1タンパク質は、RYVSリピート、RING fingerドメイン、9つのNF-X1 type Zn finger等のドメインをもつが、これらのドメインのどの領域がムギ類赤かび病菌に対する抵抗性に関与するかを調べたところ、N80のRYVSリピートやC62のC末端側のドメインを持たない領域が、抵抗性に重要な役割を果たしている事が明らかとなった。これらの結果は、RYVSリピートやC末端側の機能未知の領域に植物の病害抵抗性に関与する重要な領域が存在することを示している。AtNFXL1タンパク質のC末端側の領域は、酵母two-hybrid解析や免疫沈降の解析からMKD1と直接相互作用することを明らかにした。さらに、BiFCの解析により、AtNFXUとMKD1は、根端部分では細胞質と核で、それ以外の器官では細胞質のみの領域で相互作用することを明らかにした。次にmkd1変異体において、ムギ類赤かび病菌に対する病害抵抗性を調べたところ病害抵抗性が減少した。この結果は、MKD1タンパク質が、ムギ類赤かび病菌に対する病害抵抗性に重要な役割を果たしていることを示している。一方でatnfxl1変異体とmkd1変異体は相反する表現型を示したことから、atnfxl1 mkd1二重突然変異体を作製し、ムギ類赤かび病菌に対する病害抵抗性を調べた。その結果、二重突然変異体はatnfxl1変異体と同じ表現型を示した。これは、AtNFXL1とMKD1が遺伝学的に相互作用しており、両者は協調して新規の病害抵抗性に関与すると考えられる。
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