2010 Fiscal Year Annual Research Report
概日時計を構成する二重の振動発振経路の実体と相互作用機構の解明
Project/Area Number |
21770039
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北山 陽子 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (20444367)
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Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
生物は体内に概日時計を持っており、多くの生理現象は概日時計によって調節されることが知られている。概日時計を持つ最も単純な生物であるシアノバクテリアの概日時計システムは協同して働く二重の振動発振経路をもっている。本研究課題はKaiCリン酸化サイクルに依存せず機能する振動発振経路の実体を解明すること、および二つの経路がどのように相互作用しているか、機能的な分業が行われているのかを調べることを目的として研究を行った。 [1]KaiCリン酸化サイクルに依存せず機能する振動発振経路の解明 自己リン酸化しないKaiCを精製しATPase活性の測定を行った結果から、リン酸化とATPaseは密接に相互作用しており、リン酸化状態に変動がないときにはKaiCのATPase活性も同様にリズムを失うことがわかった。そこで、次にリン酸化振動がおこらない条件においてKaiA, KaiB, KaiCの複合体形成を調べた。その結果、細胞においてはKaiCのリン酸化状態が固定されていても複合体形成にはリズミックな変動が見られることがわかった。Kaiタンパク質同士の相互作用はKaiCのリン酸化状態によって制御されていると考えられてきたが、実際には他の要素によっても制御されており時間依存的に複合体状態が変化することによって遺伝子発現が制御されていると考えられる。 [2]二重の振動発振経路の相互作用機構の解析 ・1つの振動発生経路しか持たないシステムに変化を与えその応答を観察・比較したところ、温度条件において二重の振動発振経路のうちリン酸化依存的経路もしくは量変動依存的経路が担う役割の割合が変化することを示唆する結果が得られた。
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