2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21770040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笹部 美知子 Nagoya University, 名古屋大学・大学院・理学研究科, 特任助教 (00454380)
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Keywords | 植物 / 細胞分裂 / 細胞質分裂 / フラグモプラスト / 細胞板 / MAPキナーゼ / サイクリン依存性キナーゼ / キネシン様タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、植物に特異的な細胞分裂制御因子であるMAPキナーゼカスケードを基軸として、植物の細胞分裂の制御に関わる新奇因子の同定を試みる。細胞分裂の最終過程である細胞質分裂の進行には、植物ではキネシン様タンパク質(NACK1)とMAPキナーゼカスケードからなるNACK-PQR経路が必要である。この経路はNACK1がNPK1 MAPKKKと直接結合することにより活性化する。最近この経路の活性化にサイクリン依存性キナーゼ(CDK)が関わっていることが分かってきたので、本年度は、その生体内での分子機構に焦点をあて研究を行った。NACK1とNPK1のin vitroでの結合は、CDKによるリン酸化により阻害される。今回、タグを融合したNACK1とNPK1を発現させたBY-2細胞を作製し、タグ抗体による免疫沈降実験を行ったところ、CDKリン酸化NPK1とNACK1は生体内で結合していないことが分かった。両タンパク質がリン酸化されている時期はNPK1が活性化していない時期と一致していた。つまり、CDKはM期の前半では、リン酸化を介してNACK1とNPK1の結合を阻害することにより、この経路の活性化を抑制し、細胞質分裂の開始時期を調節していることが分かった。 また、新奇因子の同定のために、シロイヌナズナ培養細胞と質量分析解析を用いたスクリーニングを進めている。これまでの研究から、この経路は、植物の細胞質分裂装置であるフラグモプラスト微小管構造体の動態を制御していると考えている。以前、タバコ培養細胞から精製した微小管結合タンパク質を用いて本経路のMAPキナーゼの基質を探索したところ、複数の候補が得られたにも関わらずタバコのデータベースが整備されていないことから、1分子の同定しかできなかった。今回、シロイヌナズナを用いて同様の実験を行い、複数の候補を得たので、順次解析予定である。
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Research Products
(3 results)