2009 Fiscal Year Annual Research Report
種の維持に関わる花粉管ガイダンスの分子基盤―花粉管誘引因子と受容体の分子進化―
Project/Area Number |
21770041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金岡 雅浩 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (10467277)
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Keywords | 花粉管ガイダンス / 種分化 / 植物有性生殖 / シグナル伝達 / トレニア |
Research Abstract |
花粉管ガイダンスは、植物の生殖や穀物の生産を支える重要な機構である。本研究では、in vitro花粉管ガイダンス実験系のモデル植物Torenia fournieriを用いて明らかになりつつある花粉管ガイダンス因子の知見をふまえ、その分子が野生の植物種ではどのような分子進化を遂げ機能しているか、明らかにすることを目指した。 本年度は、まず、日本国内や東南アジア諸国からTorenia属植物を3種、新たに採集し、研究室で栽培し実験系統として使用できるよう整えた。さらに、近年当研究室の研究により明らかとなった、Torenia_fournieriにおける花粉管ガイダンス因子TfCRP1のオーソログ遺伝子をこれらの近縁植物から単離することに成功した。組織別RT-PCRの結果、近縁T. concolorの胚珠cDNAから単離されたTcCRP1遺伝子は植物体では胚珠のみ、さらに胚珠の中では単離助細胞cDNAにおいて強く発現していた。このことからTcCRP1が花粉管誘引物質として働く可能性が示唆された。 次に、TcCRP1とLindernia micranthaから単離されたLmCRP1の成熟ペプチド配列クローニングし、大腸菌を用いてタンパク質を発現させた。リフォールディングした精製タンパク質を用いてT. fournieriの花粉管に対して誘引アッセイを行ったところ、TcCRP1はTfCRP1よりは弱いもののある程度の誘引活性を示した。それに対し、LmCRP1はまったく誘引活性を示さなかった。TcCRP1は8アミノ酸、LmCRP1は15アミノ酸がそれぞれTfCRP1と異なっていることから、これらのアミノ酸の違いが花粉管における認識に関わっている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)