2010 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ花成遺伝子FTのエピジェネティックな発現制御機構の解明
Project/Area Number |
21770044
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 光知 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20343238)
|
Keywords | シロイヌナズナ / 花成 / フロリゲン / エピジェネティクス |
Research Abstract |
FTは花成制御における最も重要な制御因子の一つである。花成を制御する外的・内的環境情報はFT遺伝子の発現調節に集約され、最終的にはフロリゲンの産生という形で効果が発揮される。したがって、FT遺伝子の発現は極めて複雑かつ緻密に調節されていると考えられている。これまでにもFTの転写調節の仕組みについての知見が報告されてはいるが、大きな進展が見いだせずに現在に至っている。そこで、申請者は新奇のFT過剰発現突然変異体ならびにFEタンパク質を介したFTの転写制御機構に注目をして研究を進めた。 平成22年度は、代表者が独自に単離した新奇花成早化変異体#146変異に注目し、原因遺伝子を同定した。その結果、#146変異株は別の#301変異株のアレルであり、ともにELF8遺伝子に塩基置換が生じていることが新たに判明した。ELF8タンパク質は、FTの発現抑制因子であるFLC遺伝子の転写を活性化するPaf1複合体の構成因子をコードしている。その結果として、#146、#301変異株ではFT伝子の発現抑制が解除され、FTの発現上昇と花成早化表現型が観察されるものと考えられる。現在、さらに研究を発展すべくELF8タンパク質を含むPAF1複合体の機能解析を進めている。 一方、fe変異体ではFT遺伝子の発現が減少している事から、FEタンパク質を介した即の転写活性化の仕組みの存在が示唆される。現在までの遺伝学的解析、分子生物学的解析の結果、FEタンパク質がCOタンパク質との直接的相互作用を介してFT遺伝子の転写調節に関わっている事が判明している。
|