2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチド局在ピルビン酸輸送装置の分子実体の同定と生理解析
Project/Area Number |
21770048
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古本 強 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30313208)
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Keywords | ピルビン酸 / 葉緑体 / 包膜 / C4光合成 |
Research Abstract |
これまでに我々は細胞内オルガネラに存在するとされるが分子実体が不明であったピルビン酸輸送体の責任分子を同定するべく、C3光合成とC4光合成の機能的違いに着目したトランスクリプトーム解析を行ってきた。ピルビン酸輸送体候補として、新規輸送体タンパク質(BASS2)とこれと非常によく似た発現パターンを示すプラスチド局在プロトン・ナトリウム交換輸送体(NHD1)の単離に成功している。 本年度は、BASS2タンパク質を組換え体タンパク質として大腸菌内に発現させた。この大腸菌を用いて放射標識ピルビン酸の取り込み活性を測定し、BASS2がナトリウム依存的輸送活性を担う責任分子であることを証明した。また、同じトランスクリプトーム解析から単離されていたもう一つの遺伝子、プラスチド局在プロトン・ナトリウム交換輸送体(NHD1)とのカップリングにより、ナトリウム勾配を維持しつつピルビン酸を輸送し続ける輸送機構が存在する可能性が示唆された。そこでこれを実証するために、大腸菌内で二種類のタンパク質を共発現し、大腸菌膜内外にプロトン勾配を作出することで、外部ナトリウムに依存しない輸送活性が認められることを示した。この一連の実験により、葉緑体包膜に局在するナトリウム依存性ピルビン酸輸送機能が、二つの分子BASS2とNHD1とのカップリング反応で説明できるという全く新しい知見を得ることができた。 生化学的な輸送速度論解析を行う第一歩として、時間依存的輸送活性を測定し、15秒以内の短時間であるが、時間依存的な輸送活性を示すことのできる測定条件を求めることができた。
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