2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィトクロムBのN末端領域から発せられた光シグナルを受け取る相手因子の同定
Project/Area Number |
21770049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松下 智直 九州大学, 大学院・農学研究院, 特任准教授 (20464399)
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Keywords | フィトクロム / 植物 / 光受容体 / シグナル伝達 / 環境応答 |
Research Abstract |
植物の主要な光受容体であるフィトクロム蛋白質は、発色団を結合するN末端領域とキナーゼドメインを持つC末端領域からなる。主に構造的な特徴から、フィトクロムはC末端領域内のキナーゼ活性により下流にシグナルを伝達すると、これまで長い間信じられてきた。しかし我々の最近の研究によりその「常識」が覆され、フィトクロムの最も主要な分子種であるphyBが、C末端領域からではなくN末端領域からシグナルを発信することが証明された。この発見により、フィトクロムのシグナル伝達機構を一から見直す必要が生じた。そこで本研究では、現在全く未知であるphyB N末端領域からの光シグナル伝達機構を分子レベルで明らかにするために、phyB N末端領域から発せられたシグナルを直接受け取る相手因子を同定する。 我々はこれまでに、フィトクロムと重複した機能を持つクリプトクロムの欠損株背景で約25万系統のアクチベーションタギングラインを作製し、光応答の低下を示す変異体をスクリーニングした。その結果、正常なphyB蛋白量を保ちながら、赤色光条件特異的に胚軸徒長を示す変異系統を単離した。この系統は、これまでに調べた限り全てのphyB反応において異常を示し、また、これらの変異表現型はphyB変異体背景では全く観察されなかった。この変異体の原因遺伝子を解析した結果、新奇の核局在性RNA結合蛋白質をコードする遺伝子の機能欠損型劣性変異体であることがわかった。これらの結果は、この新奇RNA結合蛋白質がphyBのシグナル伝達における正の因子として特異的に働くことを示し、RNA代謝制御を介した赤色光シグナリングというフィトクロム信号伝達の新たな側面を示唆するものである。
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Research Products
(3 results)