2009 Fiscal Year Annual Research Report
気孔孔辺細胞におけるタイプ1プロテインホスファターゼの機能解析
Project/Area Number |
21770051
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武宮 淳史 Kyushu University, 大学院理学研究院, 助教 (80448406)
|
Keywords | 青色光 / プロテインホスファターゼ1 / フォトトロピン / H^+-ATPase / 気孔 |
Research Abstract |
PP1が青色光受容体フォトトロピンからのシグナルを細胞膜H^+-ATPaseへ伝達する分子機構について実験を行い、以下の成果を得た。(1) 青色光による気孔開口に関わる可能性のあるPP1調節サブユニットを単離した。酵母two-hybridスクリーニングおよびマイクロシスチン-セファロースビーズとの共同沈降物の質量分析から、多数のPP1結合因子を得た。これらの中にはPP1 Regulatory Subunit2 (PRS2)と名付けた植物に特有なタンパク質が含まれていた。興味深いことにシロイヌナズナのPRS2遺伝子の欠損変異株では、青色光による気孔開口の低下が見られた。現在、PRS2がフォトトロピンとH^+-ATPaseの間の情報伝達を仲介するかどうかについて調べている。(2) 孔辺細胞青色光情報伝達において、PP1により脱リン酸化される基質タンパク質を同定することを目的として、二次元電気泳動と質量分析を利用したプロテオミクス的手法による解析を行った。材料には比較的大量の孔辺細胞プロトプラストが調整可能なソラマメを用いた。遠心分画法により可溶性タンパク質とミクロソーム膜画分を調整し、情報伝達因子の濃縮をはかった。また、タンパク質試料をIMAC (Immobilized Metal Affinity Chromatography)にかけ、リン酸化タンパク質の精製・濃縮をおこなった。こうして調整したタンパク質を実際に二次元電気泳動にかけたところ、膜画分のタンパク質を含む多くのリン酸化タンパク質が効率的に回収・分離されることが分かり、孔辺細胞を材料とした効果的なリン酸化タンパク質の分析手法が確立された。現在、確立した手法を用いて青色光に応答してリン酸化レベルが変動するタンパク質の検出を試みている。
|