2010 Fiscal Year Annual Research Report
気孔孔辺細胞におけるタイプ1プロテインホスファターゼの機能解析
Project/Area Number |
21770051
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武宮 淳史 九州大学, 大学院理学研究院, 助教 (80448406)
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Keywords | 青色光 / プロテインホスファターゼ1 / フォトトロピン / H^+-ATPase / 気孔 |
Research Abstract |
PP1はフォトトロピンとH^+-ATPase間の情報伝達を仲介し、青色光による気孔開口において正の制御因子として機能する。本年度はPP1を介したシグナル伝達の分子機構を解明するため、この反応に関与するPP1調節サブユニットの機能解析とPP1により脱リン酸化される基質タンパク質の探索を中心に研究を進め、以下の成果を得た。(1)前年度の研究から青色光情報伝達に関わる可能性が考えられたPRS2B (PP1 Regulatory Subunit2B)について、シロイヌナズナのT-DNA挿入変異株から孔辺細胞プロトプラストを単離し、気孔の青色光反応を解析したところ、この変異体ではH^+放出とH^+-ATPaseのリン酸化が野生株の約50%にまで低下していたが、フォトトロピンの自己リン酸化は正常に見られた。また、この変異体に野生型のPRS2Bを形質転換すると気孔の表現型は相補されたが、PP1触媒サブユニット(PP1c)との結合能を欠いた変異型PRS2Bでは相補されなかった。これらの結果から、PRS2Bの働きにはPP1cとの結合が必要であること、PRS2BはフォトトロピンとH^+-ATPase間の情報伝達を制御することが示唆された。(2)昨年度確立した孔辺細胞のリン酸化タンパク質を効率的に回収・分離する手法を用い、2D-DIGE (two-dimensional difference gel electrophoresis)による青色光に応答したタンパク質リン酸化反応の解析を行った。その結果、青色光に応答してリン酸化レベルが変動するスポットを13ヶ所見出した。現在のところこれらのタンパク質の実体や機能については不明であるが、これらの中には青色光情報伝達に関わる因子が含まれている可能性が考えられる。
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