2011 Fiscal Year Annual Research Report
時計ニューロンは行動発現ON/OFFのタイムキーパーとなるか?
Project/Area Number |
21770074
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小金澤 雅之 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10302085)
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Keywords | 脳・神経 / 時計ニューロン / 行動発現 / スケールフリー |
Research Abstract |
歩行活動以外の短い時間スケールでの行動発現としてH22年度に引き続き求愛行動に注目して実験を行った。per^L突然変異体では雄の求愛歌リズムの周期が長くなり、per^s突然変異体では逆に周期が短くなることが報告されている。そこで求愛歌を記録する行動実験システムを構築し、各々のper突然変異体が生成する求愛歌のパターンを解析した。しかしながらper変異体での求愛歌リズムの明確な異常は検出できなかった。報告されている求愛歌リズムは不明瞭であることが知られ、per変異体での周期異常も再現できないという報告もなされていることから、求愛歌リズムの変動の他に安定した現象を扱うことが重要であると考えた。雄の求愛行動パターンを解析するためには、雌側の効果を極力行定にする必要があるため、断頭した雌個体に対する雄の行動を解析した。興味深いことに、断頭雌を認識した直後の雄の行動は極めて定型的な時間パターンを持っていることが明らかとなった。すなわち2~3秒の求愛行動を示した後、5~8秒の静止状態を経て再び次の求愛行動を開始しこれを数分間繰り返すという安定した規則的行動である。各々の求愛行動の間の静止時間をper^s変異体とper^L変異体で比べたところ、per^sの静止時間はper^Lの静止時間に比べて長いことが明らかとなった。このことはH21年度に明らかとした単独個体の歩行パターンに見られた効果と類似しており、様々な短い時間スケールの行動発現にも時計遺伝子が機能していることを示唆するものである。
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