2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770076
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
二階堂 雅人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (70432010)
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Keywords | シクリッド / フェロモン / V1R2受容体 / 嗅覚 |
Research Abstract |
魚類VIR嗅覚受容体遺伝子は、生殖行動を引き起こすためのホルモナルフェロモンをリガンドとすると予想されている。そのV1R遺伝子は計6コピー存在する事が明らかとなっており、V1R1~V1R6と名付けられている。本研究で注目しているのは、V1R2遺伝子である。我々はこれまでに、V1R2遺伝子がビクトリア湖産シクリッドにおいて、顕著な多様化を遂げている事を明らかにしており、単離されたアリルは計20個にもおよんだ。それらを大きく分けると、2つのアリル型に分けられ、そのアリル型間では13塩基もの置換が蓄積していた。ビクトリア湖産シクリッドは放散からわずか1万2千年しか経っていないことを考慮すると、この塩基置換の蓄積は中立的な進化では説明できないものである。また、我々はV1R2遺伝子の部分配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション実験をおこない、V1R2遺伝子が単コピーであることを確認しており、この大きく異なるアリル型と認識しているものが実は重複した遺伝子であったというような可能性は否定できている。この大きく異なるアリル型の起源を探るべく、三大湖すべてのシクリッドに関してこのV1R2遺伝子の配列を決定したところ、どの湖に生息するシクリッドにおいても2つのアリル型が存在していた。つまりV1R2遺伝子の2つのアリル型の起源は非常に古く、タンガニイカ湖産シクリッドの放散よりも前(800万年以上前)であることが明らかとなった。この事は、V1R2遺伝子座における2つのアリルが進化的に考えても非常に長い期間維持されてきたことを意味し、中立進化では説明できない何らかのメカニズムがあり、このような現象を引き起こしたと考えられる。 我々は現在、東アフリカ産シクリッドがかつて、交雑を繰り返しながら適応放散を遂げたのではないか、とのシナリオを提唱して、このV1R2遺伝子の進化を説明しようと試みている。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Genetic Variation and Demographic History of the Laparogramma Cichlid Species Group of Lake Victoria-An Analysis Based on SINEs and Mitochondrial DNA2010
Author(s)
Mzighani SI, Nikaido M, Takeda M, Seehausen O, Budeba YL, Ngatunga BP, Katunzi EFB, Aibara M, Mizoiri S, Sato T, Tachida H, Okada N
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Journal Title
Peer Reviewed
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