2009 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の海水適応を担うにがり成分排出トランスポーターの同定と分子機構の解明
Project/Area Number |
21770077
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (40311336)
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Keywords | 生理学 / 遺伝子 / 海水適応 / フグゲノム / イオントランスポーター / 近位尿細管尿細管 |
Research Abstract |
海水魚は体液の約3倍の高浸透圧環境で生存しているため,常に体液中の水を環境水に奪われる。そこで海水魚は海水を飲み,エラ塩類細胞(Na^+,Cl^-),腸(Ca^<2+>),腎臓(Mg^<2+>,SO_4^<2->,ホウ酸)から余剰なイオンを排出して体液浸透圧を維持している。本研究ではこれまで解析が進んでいなかった腎臓によるにがり成分(Mg^<2+>,SO_4^<2->,ホウ酸)の尿中への濃縮・排出に着目し,以下の研究を行った。(1) 硫酸排出モデルの構築:腎尿細管における硫酸排出トランスポーターSlc26a6Aを同定した論文が受理された(Editorial Focusに選ばれた)。(2) ホウ酸排出モデルの構築:海水魚がホウ酸を尿中に約300倍濃縮して排泄することを見いだし,その担い手となるホウ酸輸送体の候補を同定した。ホウ酸輸送体の候補が近位尿細管尿細管apical膜上に発現することを明らかにし,現在その活性をXenopus oocyteや酵母の発現系を用いて解析している。(3) マグネシウム排出モデルの構築:海水魚の尿は100mM以上ものMg^<2+>を含み,そのMg^<2+>は近位尿細管から分泌されることが知られている。私たちはNa^+/Mg^<2+>交換輸送体の候補遺伝子をフグゲノムから見いだした。特異的抗体による免疫組織染色の結果,候補輸送体は海水適応したメフグ近位尿細管のapical膜上に発現していた。今後,Mg^<2+>輸送活性の詳細な解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)