2011 Fiscal Year Annual Research Report
動物界におけるD-アルギニンの分布と代謝に関する研究
Project/Area Number |
21770080
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
宇田 幸司 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 助教 (10448392)
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Keywords | アルギニンキナーゼ / D-アミノ酸 / D-アルギニン / フォスファゲンキナーゼ |
Research Abstract |
環形動物類のケヤリ(Sabellastarte indica)の生体内には高濃度で遊離D-アルギニンと,そのリン酸化合物である遊離D-アルギニンリン酸が存在している。また,D-アルギニン及びL-アルギニンを共に基質として利用し,D-アルギニンリン酸及びL-アルギニンリン酸を合成することのできる特異なアルギニンキナーゼが存在している。本研究では,無脊椎動物全般からアルギニンキナーゼを含むフォスファゲンキナーゼファミリーの遺伝子を単離し,その進化的背景を明らかにすると共に,D-アルギニンを基質として利用できるアルギニンキナーゼがケヤリにのみ存在するのかどうかを確かめることを目的の一つとしている。 本年度は刺胞動物門のネマトステライソギンチャクからアルギニンキナーゼを含むフォスファゲンキナーゼファミリー遺伝子の単離を行った。その結果,ネマトステライソギンチャクから他に例を見ない3ドメイン構造を持つアルギニンキナーゼ遺伝子,2ドメイン構造を持つアルギニンキナーゼ,細胞質型のクレアチンキナーゼ,ミトコンドリア型のクレアチンキナーゼが2種類,鞭毛型のクレアチンキナーゼ,そして基質が不明なフォスファゲンキナーゼ遺伝子の実に7種類ものフォスファゲンキナーゼファミリー遺伝子が単離された。さらに,これらのフォスファゲンキナーゼ遺伝子をpET30bベクターに組み込み,大腸菌BL21(DE3)株を用いたリコンビナントタンパク質発現系を構築した。そして,これらのフォスファゲンキナーゼのリコンビナント酵素を作成し,詳細な酵素活性の測定と比較を行った。
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