Research Abstract |
・北海道および本州でフィールドワークを行い,シカ寄生性シラミ類のサンプリングを行った.合わせて,各地の狩猟組合などとコンタクトをとり,シカ毛皮の収集を行った。これらのサンプリングにより,北海道,本州,四国,九州,対馬,屋久島からシカおよび寄生シラミの試料を得た. ・シカとシラミ双方の系統地理解析に適した遺伝子マーカーの探索を行った.シカに関しては,GenBankに登録されているミトコンドリアゲノムの比較により,コントロール領域と蛋白コード領域が解析に適していることが確認された.シラミについては,COI, 12S, 16Sおよびコントロール領域の部分配列を得ることが出来,これらの比較から,遠縁な個体群間の解析にはCOI領域が,近縁な個体群間の解析にはコントロール領域が適していることが示された.そこで,シカ,シラミ双方で,COIとコントロール領域を解析対象とすることとした. ・シカとシカバジラミのCOI部分配列を解析した.その結果,シカ,シラミとも国内の個体群は大きく2つのグループに分けられたが,ホスト-パラサイト間の系統関係の一致は見られなかった.解析の途中結果を日本昆虫学会大会において発表した。 ・本研究の過程で得られたデータの一部を用いて,シラミ目昆虫の高次系統関係の推定を行った.本研究成果は,Molecular Phylogenetics and Evolution誌に受理された.
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