2010 Fiscal Year Annual Research Report
貝類寄生虫パーキンサスに見出された縮退色素体の維持機構の解明
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21770084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 素道 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (00511396)
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Keywords | 進化 / 色素体 / タンパク質輸送 / 微細構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、寄生性原生生物であるパーキンサスに近年見出された色素体の維持機構すなわち包膜を通したタンパク質輸送機構を明らかにし、これを既知の多様な色素体と比較して色素体維持の共通機構を探ることである。前年度に確立した色素体タンパク質DXR(ispC)に対する蛍光融合タンパク質の発現系を用い、本年度は電子顕微鏡による詳細な局在解析と、その色素体移行シグナル配列に変異を導入することによる局在への影響の検討を行った。電子顕微鏡下では中空で4枚の生体膜に囲まれた構造が融合タンパク質発現株に特異的に観察された。これによりパーキンサスの色素体が微細構造として初めて同定され、包膜の枚数が4枚であることが確認された。これは近縁の渦鞭毛藻(3枚)やマラリア原虫類(4枚)と比較する上での基盤となる重要な知見である。また色素体移行シグナル配列のうち、色素体内腔への取り込みに重要だと予想されるフェニルアラニン残基をアラニン、イソロイシン、チロシンへと変異させた株を作出したところ、そのいずれにおいても少なくとも色素体の辺縁部まで輸送されていることが示された。現在内腔への取り込みの有無を検証している。その他、局在を比較するために、ミトコンドリアにおける翻訳伸長因子EF-Tuおよび代替末端酸化酵素AOXに対する蛍光融合タンパク質を発現する株を作出した。これらの発現株の樹立に時間を要したために、遺伝子ノックダウン系については着手できなかった。
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Research Products
(7 results)