2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 泰則 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20381056)
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Keywords | 深海化学合成群集 / 腹足類 / 分類学 / 分子系統 / 適応放散 / 軟体動物 / 沈木 / 単板類 |
Research Abstract |
1970年代の末,東太平洋の熱水噴出孔周辺からシロウリガイなどの特異な動物群が見つかって以来,冷湧水域やクジラ骨・沈木周辺堆積物を含む深海の化学合成生物群集が注目を集めてきた,一方で,ハオリムシやシンカイヒバリガイ類などごく少数の分類群を除き,これらの動物がいつ,どのような環境から化学合成系に進出したのかはよく分かっていない.本研究では,軟体動物腹足綱の複数の系統について,熱水・冷湧水・クジラ骨・沈木および好気的環境に生息する種を含めた網羅的な種間系統樹を作成し,化石記録を参照した上で,各環境への進出の絶対年代とそのルートに関しての一般的傾向を論じることを目的とした. 平成23年度の主な実施内容は下記の通りである。1)長崎丸N342航海、かいれいKR12-03航海により沖縄トラフの底生生物採集を行った。また、淡青丸KT11-12航海により九州・四国沖太平洋での採集を行い、ネオンファルス上目やワダツミシロガサ上科を含む冷湧水ならびに遺骸群集の試料を得た。2)パラオ・天草諸島において浅海の嫌気環境の種および比較用標本を採集した。3)パリ自然史博物館での多様性調査に関するワークショップに参加するとともに共同研究者と打ち合わせを行った。また同博物館収蔵の沈木群集貝類について分子解析用試料の貸与を受けた.4)上記の試料について協力者の助力のもとソーティングと分子系統解析を進めた。5)単板綱の現生種は、熱水性の種を含めごく新しい起源をもつ。本内容については論文を投稿・改訂済みである。6)アマオブネ上目の種について初期発生様式の検討を行い、深海の熱水及び沈木群集における分散を考察した。本結果は近日中に投稿予定である。7)ワダツミシロガサ上科・ホウシュエビス上科・ネオンファルス上目についても系統解析結果を論文として準備中であり、これらの出版後に化学合成群集にみられる放散の傾向を総括したい。
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Research Products
(6 results)