2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物における倍数種形成の初期過程:進化の再現系を用いた遺伝基盤の解明
Project/Area Number |
21770090
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (80264688)
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Keywords | コムギ / 2n配偶子 / 倍数化 / 種分化 / 減数分裂 |
Research Abstract |
本研究は、イネ科の代表的な倍数種であるパンコムギとその近縁種をモデルとして、2n配偶子形成の遺伝基盤を明らかとし、倍数種形成の初期過程に関与する遺伝メカニズムについての新知見を得ることを目的として実施する。本年度の成果は次の通りである。 1.QTL解析用分離集団の作出 2n配偶子形成に関与する遺伝子の数とゲノム上の位置を調べる解析(すなわち、QTL解析)の材料となる分離集団を育成するための交配実験を行なった。昨年度、分離集団の親系統として最も適していると判断したタイプA二粒系コムギ(タルホコムギとの交雑において高稔性F_1雑種を与える系統)とタイプB二粒系コムギ(タルホコムギとの交雑において不稔F_1雑種を与える系統)の交雑F_1とタルホコムギ(1系統)を交配し、分離集団個体種子625粒を得た。これら種子の発芽率を調査したところ、60%程度であることが分かった。この成果により、QTL解析用分離集団の作出は完了した。 2.減数分裂の比較観察 タイプA二粒系コムギとタルホコムギの交配により作出した高稔性3倍体F_1系統とタイプB二粒系コムギとタルホコムギの交配により作出した低稔性3倍体F_1系統の花粉母細胞を用いて減数分裂過程を比較観察したところ、前者では、非還元減数分裂を通じて、稔性のある2n配偶子が形成されることが分かった。一方、後者では、初期段階での重大な障害により、非還元減数分裂が正常に進行せず、これが主な原因となって不稔となる可能性が示唆された。 3.マーカー選抜と二粒系コムギ連鎖地図の作成 タイプA二粒系コムギとタイプB二粒系コムギの間では、多型を示すSSRマーカーが比較的少ない可能性が示唆された。今後、さらにマーカーを調査するとともに、他の分子マーカーの利用も検討する。
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Research Products
(1 results)