2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物における倍数種形成の初期過程:進化の再現系を用いた遺伝基盤の解明
Project/Area Number |
21770090
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (80264688)
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Keywords | コムギ / 2n配偶子 / 倍数化 / 種分化 / 減数分裂 |
Research Abstract |
本研究は、イネ科の代表的な倍数種であるパンコムギとその近縁種をモデルとして、2n配偶子形成の遺伝基盤を明らかとし、倍数種形成の初期過程に関与する遺伝メカニズムについての新知見を得ることを目的として実施する。本年度の成果は次の通りである。 1.「2n配偶子を形成する」性質の遺伝率の推定 昨年度、タイプA二粒系コムギ(タルポコムギとの交雑において高稔性F_1雑種を与える系統)とタイプB二粒系コムギ(タルポコムギとの交雑において不稔F_1雑種を与える系統)の交雑F_1とタルポコムギ(1系統)を交配して3倍体F_1分離集団を作出した。本年度は、このうち20個体を栽培し、個体ごとの着粒率データを得た。そして、3倍体F_1分離個体の着粒率データ及び、同時に栽培した非分離個体の着粒率データ用いて「2n配偶子を形成する」性質の遺伝率を推定したところ、0.8程度との結果を得た。 2.減数分裂の比較観察 タイプA二粒系コムギとタルホコムギの交配により作出した高稔性3倍体F1系統とタイプB二粒系コムギとタルポコムギの交配により作出した不稔3倍体F1系統の花粉母細胞を用いて減数分裂過程を比較観察したところ、前者では、非還元減数分裂を通じて、稔性のある2n配偶子が形成されることが再確認された。また、後者では、減数分裂の初期段階で重大な障害が生じることが主な原因となって不稔となる可能性が示唆され、この点についても、昨年度の結果が再確認された。 3.マーカー選抜と二粒系コムギ連鎖地図の作成 タイプA二粒系コムギとタイプB二粒系コムギの間では多型を示すSSRマーカーが少なく、精度の高い連鎖地図作製のためには、他の分子マーカーを利用する必要があることが明らかとなった。
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