2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規炎症メディエーターリゾホスファチジルセリンの炎症・免疫反応における機能解析
Project/Area Number |
21770102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
巻出 久美子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (30519773)
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Keywords | リゾリン脂質 / 炎症 / 自己免疫疾患 / 受容体 / 産生酵素 |
Research Abstract |
これまでに、リゾボスファチジルセリン(LPS)の受容体P2Y10,GPR174が活性化リンパ球において発現上昇することを見出していた。本年度さらに詳細に解析した結果、LPSはGPR174を介してT細胞の活性化因子インターロイキン2(IL-2)の産生を遺伝子レベルで抑制することがわかった。また、LPSはP2Y10発現細胞の接着抑制作用を有することを見出し、リンパ球においてもICAM/LFA-1を介した細胞接着を制御していることが示唆された。 さらに、in vivoにおいてLP9が自己免疫疾患の抑制作用を有することを見出した。LPSを注入した浸透圧ポンプをマウスの腹腔に埋め込むことにより、徐放的かつ持続的に投与することに成功した。自己免疫疾患の病態マウスとして、ヒト全身性エリテマトーデス(SLE)を自然発症するMRL-1pr/1pr(MRL/1pr)マウス、およびヒト自己免疫性肝炎のモデルであるコンカナバリンA(ConA)誘導性肝炎マウスを用いた。MRL/1prマウスに発症前からLPSを投与すると、血中自己抗体の上昇抑制、リンパ器官の肥大化抑制、腎における免疫複合体の沈着抑制など様々なパラメーターにおいて自己免疫疾患の症状が抑制された。また、ConA誘発性肝炎モデルにおいても、LPSの前投与により、血中の肝障害マーカーALTの上昇が顕著に抑制され、組織レベルでも障害の抑制が確認された。これらの結果は、LPSが自己免疫疾患治療薬となる可能性を示すものであり、非常に興味深い結果である。
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Research Products
(7 results)