2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770123
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木田 祐一郎 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 助教 (10423899)
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Keywords | 小胞体 / タンパク質膜透過 / トランスロコン / 膜タンパク質 / シグナル配列 / 膜トポロジー / 生体膜 / オルガネラ |
Research Abstract |
● 小胞体における膜タンパク質の脂質膜への組み込みにおいて、タンパク質膜透過チャネル(トランスロコン)はオルガネラ内腔側領域の膜透過に加え、膜貫通配列自体の脂質環境への放出にも機能する。親水環境でのみ起こるSH基修飾反応を利用して、膜貫通配列内に導入したCys残基の環境変化からこの脂質環境への移行を追跡したところ、内腔側領域の一部が膜透過して膜貫通状態を形成すると同時に脂質環境に入ることが示された。また、申請者らが構築したモデル2回膜貫通タンパク質は中央の膜貫通配列2本の上流、下流共に小胞体内腔に配置され、更に各末端を細胞質側で捕捉することで2本の親水性配列が同時に膜を貫通したまま停止した中間状態を形成できる。この透過途中の配列はどちらもトランスロコンの近傍に位置し、かつ親水環境に存在することが示され、トランスロコンが少なくともポリペプチド鎖2本分の親水環境を提供できることが分かった。以上の結果は、トランスロコンを介した膜タンパク質の組み込み機構やトランスロコンの会合状態について示唆を与えるものである。(Kida et al, MBoC, 21,418-429,2010) ● リボソームの翻訳に共役したタンパク質膜透過の途中で疎水性の高い配列が現れると、トランスロコンで停止して脂質環境へと放出される。比較的疎水性の低い配列であっても、下流に正荷電残基を配置することで膜透過停止するが、この弱疎水性配列は一旦小胞体内腔へと透過し正荷電残基によってトランスロコン付近へと引き戻されること、また引き戻された弱疎水性配列は脂質環境には移行できずにトランスロコン付近に留まることが明らかとなった。この結果は、トランスロコンにおけるダイナミックな膜貫通配列認識・組み込み機構の存在を示している。(Fujita, Kida et al, MBoC, in Press)
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