2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写開始複合体によるプロモーター依存的転写レベル調節機構の構造学的研究
Project/Area Number |
21770125
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
伊藤 啓 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (10390626)
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Keywords | 蛋白質X線結晶構造解析法 / 構造生物学 / 転写開始複合体 |
Research Abstract |
これまでプロモーターに結合したRNAポリメラーゼは、その全てが転写伸長反応へ進むと考えられてきたが(sequential model)、その後転写伸長反応へ進むものと、プロモーターから離れず短いRNA断片を繰り返し合成した後に不活性型になるものの2通りへと枝分かれする事が示された(branched pathway model)。プロモーター配列に依存して活性型・不活性型になる割合が異なることにより転写レベルの調節が行われると考えられているが、その切り替えの分子機構は立体構造情報の欠如により不明であった。そこで本研究ではその仕組みを理解するために必要となる構造学的基盤の構築を目指した。 まず、その切り替わりの鍵と予想される、活性中心付近における構造の変化をX線結晶構造解析法により明らかにしようと試みた。シアノバクテリア由来RNAポリメラーゼが形成する転写開始複合体は不活性型をほとんど形成しないが、本酵素はβ'サブユニットに挿入ドメイン(CBID)を持つ。この特異的なCBIDが切り替えに及ぼす影響を構造学的側面から解明する目的でその結晶構造解析を行ったが、得られた結晶は対称性が低く非対称単位中に10個を超える分子を含んでいた他(1分子あたり60kDa)、完全双晶であった。結晶性を改善すべく様々な処置を試みたが、構造決定を行える回折データを与える結晶は得られず、その立体構造を決定する事は出来なかった。次に、大腸菌RNAポリメラーゼについて、転写開始複合体を調製しその結晶化を試みた。酵素を構成する一つのサブユニットにHisタグが付く様に遺伝子を改変した大腸菌を用いてサンプルの調製を行い、精製はアフィニティークロマトグラフィーとゲル濾過により行った。精製したRNAポリメラーゼを用いて結晶化条件探索実験を行ったが、目的とする複合体の結晶を得る事は出来なかった。
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Research Products
(1 results)