2010 Fiscal Year Annual Research Report
エクソソーム結合性ガングリオシドのアミロイドベータ蛋白質重合への影響
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21770128
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
湯山 耕平 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 特任助教 (80415546)
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Keywords | ガングリオシド / エクソソーム / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
私は以前、PC12細胞を用いた研究によって、細胞内エンドサイトーシス輸送を障害させると、エンドソーム内にガングリオシドGM1(GM1)が蓄積し、エクソソーム(エンドソーム由来の細胞外小胞)放出が亢進すること、さらに、このエクソソームに結合しているガングリオシドが合成アミロイドβタンパク質(Aβ)重合能を有することを見出した(Yuyama et al. J.Neurochem., 105,217-24,2008)。Aβ重合は、現在のところ有効な治療法がないアルツハイマー病(AD)の主要病理であり、その重合誘導メカニズムの解明が待たれている。昨年度に実施した研究では、株細胞(PC12細胞)と比較して生体内の神経細胞に近い性質をもつマウス大脳皮質培養神経細胞からのエクソソーム放出を確認した。今年度は、この培養神経細胞由来エクソソームが量依存的にAβ重合を促進することを確認した。また、この重合促進効果は、AD脳老人班において蓄積の多いAβ40、Aβ42の両分子種で見られた。また、この重合促進効果はGM1に特異的に結合するコレラ毒素により一部抑制されたことから、ガングリオシド依存的であることが明らかになった。また、アポトーシス誘導時に細胞表面に露出する脂質であるホスファチジルセリンが神経細胞由来エクソソーム表面に存在していることも確認した。今後はこれらの成果を生かし、ADの病態形成メカニズムの解明、治療薬開発に発展させたい。
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