2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小原 圭介 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (30419858)
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Keywords | 脂質 / オートファジー / スフィンゴ脂質 / オートファゴソーム / 脂肪酸 / 酵母 / 液胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、未だ謎の多いオートファゴソーム形成機構について、脂質の観点から切り込むことである。その際に、特にオートファゴソームとの関連が示唆されながらも、直接的には調べられていないスフィンゴ脂質に注目した。 昨年度は、オートファジーの正常な進行にスフィンゴ脂質が関与する事を見出した。 それを受けて、今年度は出芽酵母で3種類存在する複合スフィンゴ脂質(IPC, MIPC, M(IP)_2C)のうち、どの分子種が関与するかを調べた。その結果、オートファジーの進行には、IPCが必要であり、MIPCとM(IP)_2Cは必要でない事が明らかとなった。このことは、特定の種類の複合スフィンゴ脂質がオートファジーの進行に関与するという初めての知見である。また、IPC合成を短時間止めた状態でもオートファジーの抑制効果が認められた事から、細胞に存在するスフィンゴ脂質の総量というよりも、新規合成が正常なオートファジー進行に必要である事が示唆された。スフィンゴ脂質合成を停止させた条件で、オートファジーの各素過程をモニターしたところ、オートファジーに必須な二つのユビキチン様反応系、関連タンパク質が集積する場(PAS)の構築、液胞の成熟にはスフィンゴ脂質が必須ではない事が分かった。これらのことからスフィンゴ脂質は、初期のシグナリング経路には関与せずに、オートファゴソーム形成に直接関与する可能性が示された。ここまでの内容を、薬学会北海道支部例会で口頭発表し、現在は投稿論文を執筆中である。今後は、これらの発見をより掘り下げ、オートファゴソーム形成機構に迫る予定である。
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Research Products
(2 results)