2009 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳開始因子キナーゼのヘム結合・リン酸化・分解によるダイナミクス
Project/Area Number |
21770130
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 城太郎 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (80375162)
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Keywords | ヘム調節インヒビター / 翻訳開始因子キナーゼ / ヘム / 自己リン酸化 / 脱リン酸化 / ヘム制御モチーフ / 質量分析 |
Research Abstract |
赤血球成熟の過程において、ヘモグロビンの合成はヘム不足などのストレスに応答して調節されている。ヘム調節キナーゼ(HRI)は、真核生物翻訳開始因子2α(eIF2α)を基質とするセリン・スレオニンキナーゼである。網状赤血球がヘム不足に陥ると、HRIは自己リン酸化によって活性化し、eIF2αをリン酸化することで、グロビンタンパク質の合成を停止させる。本研究では、HRIの活性調節機構について、ヘム・リン酸化・タンパク質分解に焦点を当て、分子レベルでの解析を行う。 今年度は、1)HRIの活性化に必要な自己リン酸化について、その部位を質量分析法による解析を行ったところ、33カ所のリン酸化部位を同定した。また、これらのリン酸化部位の変異体をについて活性測定を行った結果、Tyr193, Thr485, Thr490が活性化に必須であることがわかった。2)λプロテインフォスファターゼを用いて、脱リン酸化したHRIを調製した。ATPを加えて再び自己リン酸化する反応、及びヘムによるeIF2αキナーゼ活性の阻害を調べた。以上の結果をまとめた論文を現在投稿中である。3)ヘムの濃度を感知する上で重要な役割を果たす、Cys-Pro配列(ヘム制御モチーフ)、を欠損しているゼブラフィッシュ由来HRIのクローンを取得し、HRIを大腸菌内で発現し、精製を行った。ヘム結合性を吸収スペクトルによって測定したところマウス由来HRIとは異なる傾向を示した。一方、キナーゼ活性のヘムによる阻害反応はマウスとゼブラフィッシュの間で大きな差は見られなかった。
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Research Products
(5 results)