2010 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳開始因子キナーゼのヘム結合・リン酸化・分解によるダイナミクス
Project/Area Number |
21770130
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 城太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80375162)
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Keywords | ヘム調節インヒビター / 翻訳開始因子キナーゼ / ヘム / 自己リン酸化 / 脱リン酸化 / プロテアソーム / 結晶化 |
Research Abstract |
赤血球成熟の過程において、ヘモグロビンの合成はヘム不足などのストレスに応答して調節されている。ヘム調節キナーゼ(HRI)は、真核生物翻訳開始因子2α(eIF2α)を基質とするセリン・スレオニンキナーゼである。網状赤血球がヘム不足に陥ると、HRIは自己リン酸化によって活性化し、eIF2αをリン酸化することで、グロビンタンパク質の合成を停止させる。本研究では、HRIの活性調節機構について、ヘム・リン酸化・タンパク質分解に焦点を当て、分子レベルでの解析を行う。 まず初めに、HRIの自己リン酸化部位の同定とその役割については論文発表を行った(Igarashi et al. (2011)FEBS J. 278,918)。 1)培養細胞中のHRIの動態を調べるために、MEL細胞を用いて、内在性HRIの検出を試みたが、低レベルの発現しか検出できなかった。また、NIH3T3細胞を用いて、HRIの発現を行ったが、HRIがタンパク質分解を受けている可能性が示唆された。2)HRIの不活性化について、タンパク質分解の可能性を検討するために、大腸菌で発現精製を行った組換えHRIを基質として用い、プロテアソームによる分解反応を測定した。その結果、HRIはユビキチン非依存的に20Sプロテアソームによって分解されることがわかった。3)HRIの立体構造を明らかにするために、ヒト、マウス、ラット及びゼブラフィッシュのHRI遺伝子をクローニングし、タンパク質の大量発現、精製を行った。ヘムを含まないアポ型酵素について、結晶化スクリーニングを行ったところ、ヒット条件が得られた。回折データを収集したものの、低分解能のため構造解析は難しく、分解能向上のため結晶化条件の最適化を行っている。
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Research Products
(8 results)