2009 Fiscal Year Annual Research Report
基本生理機能調節における概日リズム制御蛋白質の酵素活性及び翻訳後修飾の役割
Project/Area Number |
21770138
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平山 順 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任講師 (90510363)
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Keywords | 概日リズム / 転写 / 翻訳後修飾 / DAXX / 発癌 / 生理機能 / 分子時計 / アセチル化 |
Research Abstract |
概日リズムはホルモン分泌等の基本的生理現象の周期を外環境に適応させ維持する機構である。この機構の異常は精神(不眠、うつ)、循環器(心筋梗塞、高血圧)、呼吸器(喘息)疾患を含む多くの疾患の病態に関与している。概日リズムは全身の個々の細胞に存在する転写/翻訳に依存したフィードバックループ(分子時計)により制御されている。特に、脊椎動物の分子時計においてCLOCKとBMAL1は二量体を形成し、転写活性化因子として機能する。分子時計がどのように疾患に関与する様々な基本的生理機能を制御しているかについては現時点ではほとんど解明されていない。 本研究は概日リズムの分子時計が生理機能を調節する分子機構の解明を目指し、特に概日リズム制御蛋白質の酵素活性及び翻訳後修飾に注目して研究を進めた。まず、CLOCK:BMAL1二量体に結合する新規蛋白質として、細胞死制御因子DAXXを同定した。次に、分子生物学・生化学的解析により、DAXXがCLOCK:BMAL1二量体の転写能を亢進させること及びBMAL1のアセチル化を負に制御することを見出した。さらに、これらのDAXXによる分子時計制御因子の転写能及び翻訳後修飾の制御が分子時計の周期を制御すること明らかにした。 疫学的な解析や概日リズムの異常を示す変異マウスの生理学・解剖学的解析により概日リズムと発癌等の疾患の関連は現象として多く報告されている。近年、BMAL1やCLOCK等の分子時計制御因子の変異マウスがリンパ腫、早老症、代謝異常を発症することが報告され、一部その病態メカニズムに分子時計が関与していることが強く示唆されている。DAXXと発癌の関連は多く報告されていることから、現在私は本研究の知見に基づいて概日リズムの異常と発癌の関連の分子機構の一端の解明を目指している。
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