2010 Fiscal Year Annual Research Report
基本生理機能調節における概日リズム制御蛋白質の酵素活性及び翻訳後修飾の役割
Project/Area Number |
21770138
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平山 順 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (90510363)
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Keywords | 概日リズム / 分子時計 / 癌 / 転写 / 翻訳後修飾 / DAXX / アセチル化 / ストレス応答 |
Research Abstract |
概日リズムはホルモン分泌等の基本的生理現象の周期を外環境に適応させ維持する機構である。この機構の異常は精神(不眠)、循環器(心筋梗塞、高血圧)、呼吸器(喘息)疾患を含む多くの疾患の病態に関与している。概日リズムは全身の個々の細胞に存在する転写/翻訳に依存したフィードバックループ(分子時計)により制御されている。脊椎動物の分子時計においてCLOCKとBMAL1は二量体を形成し転写活性化因子として機能する。 本研究は概日リズムを制御する分子時計が生理機能を調節する分子機構の解明を目的に研究を進めた。まず、質量分析法を用いたスクリーニングにより、CLOCK:BMAL1二量体に結合する新規因子として細胞死制御因子DAXXを同定した。DAXXは紫外線等のストレスに応答し、細胞周期、分化、及び細胞死誘導に関わることが知られている。興味深いことに、DAXXはBMAL1と時間依存的に結合することを見出した。この時間依存的結合の分子メカニズムとして、ヒストンアセチル化酵素CBPによるBMAL1のアセチル化によるBMAL1とDAXXの結合能の亢進を支持する知見を得ている。さらに、本研究はDAXX:BMAL1:CLOCK複合体の形成がCLOCK:BMAL1二量体の転写能を亢進し、分子時計の周期性を調節することを示唆する知見を得ている。 概日リズムの異常を示す変異マウスの生理学・解剖学的解析により概日リズムと発癌等の疾患の関連は多く報告されている。近年、BMAL1やCLOCK等の分子時計制御因子の変異マウスがリンパ腫、早老症、代謝異常を発症することが報告され、一部その病態メカニズムに分子時計が関与していることが強く示唆されている。DAXXと発癌の関連は多く報告されていることから、本研究の知見は概日リズムと発癌の関連の分子機構の一端の解明に寄与することが期待される。
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Research Products
(4 results)