2010 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム結合タンパク質ALG-2による小胞体からの輸送小胞出芽の制御機構の解析
Project/Area Number |
21770139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 秀樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30314470)
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Keywords | シグナル伝達 / カルシウム / 小胞輸送 / タンパク質間相互作用 / COPII小胞 / アネキシン / 蛍光イメージング / FRAP |
Research Abstract |
タンパク質の分泌経路において、小胞体からゴルジ体への順行輸送はCOPII小胞が担う。COPII小胞は、その被覆を構成するタンパク質が細胞質から小胞体の特別な領域(ER exit site,ERES)に動員されることで形成され、ERESから出芽する。本研究は、COPII被覆の外殻を構成するSec31Aにカルシウム結合タンパク質ALG-2がカルシウム依存的に結合するという申請者らの発見に基づき、カルシウムシグナルがALG-2を介してCOPII小胞の出芽とタンパク質輸送を制御している可能性を検討し、その生理的意義を解明することを目的としている。研究計画に沿い、本年度は、水泡性口内炎ウィルス糖タンパク質の温度感受性変異体の緑色蛍光タンパク質との融合タンパク質(VSV-G tsO45-SGFP2)を恒常的に発現する細胞株を作製し、このタンパク質の小胞体からゴルジ体への輸送に対するALG-2の発現抑制による影響を、生化学的・細胞生物学的に解析した。その結果、ALG-2発現抑制細胞では、ALG-2を発現している細胞に比べ、VSV-G tsO45-SGFP2の小胞体からゴルジ体への輸送が促進されていることが明らかとなった。また、ALG-2によってカルシウム依存的にEIESに動員されるアネキシンAllの発現抑制細胞においても、同様の結果が得られた。次に、Sec31Aの緑色蛍光タンパク質との融合タンパク質(Sec31A-SGFP2)を恒常的に発現する細胞株を作製し、光槌色後蛍光回復法(Fluorescence recovery after photobleaching,FRAP)により、Sec31AとERESの親和性に対するALG-2の発現抑制による影響を検討した。その結果、ALG-2発現細胞では、ERESに安定に局在化するSec31Aの割合が顕著に減少していた。これらの結果から、カルシウムシグナルを感知するALG-2がSec31AをERESに安定に存在させることで、小胞体からゴルジ体への輸送を負に制御している可能性が考えられた。
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Research Products
(17 results)