2009 Fiscal Year Annual Research Report
GPIアンカー型タンパク質の輸送を制御する遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
21770140
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 盛久 Osaka University, 微生物病研究所, 特任助教 (30532056)
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Keywords | 糖鎖 / 翻訳後修飾 / 細胞内輸送 / 糖脂質 / GPIアンカー / GPIアンカー型タンパク質 |
Research Abstract |
GPIアンカー型タンパク質の小胞体からゴルジ体への輸送が選択的に遅れる変異株を用いて、発現クローニングにより原因遺伝子の同定を試みた。その結果、機能未知の新規遺伝子を取得し、PGAP5(Rost-GPI Attachment to Protein 5)と名付けた。PGAP5を変異株に発現させることにより、GPIアンカー型タンパク質の輸送を回復させることができた。次に、変異株ゲノム上のPGAP5変異を確認し、PGAP5が変異株の原因遺伝子であることを明らかにした。PGAP5は膜タンパク質をコードしており、ルーメン側にリン酸エステラーゼ・モチーフを有していた。このモチーフに保存されたアミノ酸を置換すると変異株のGPIアンカー型タンパク質の輸送遅延を回復させることができないことから、PGAP5の機能に必須であることが示唆された。GPIアンカー糖鎖の構造を質量分析装置で解析した結果、野生株ではGPIアンカー糖鎖の2つ目のマンノースに付加された側鎖エタノールアミンリン酸が除去されているのに対して、PGAP5変異株では側鎖エタノールアミンリン酸が付加されたままであることが分かった。さらに、精製タンパク質を用いた酵素活性測定系を構築し、PGAP5が側鎖エタノールアミンリン酸の除去を行う酵素本体であることを明らかにした。これらのことからPGAP5はGPI糖鎖部分の構造を改変する活性を有しており、この反応がGPIアンカー型タンパク質の小胞体からゴルジ体への輸送に密接に関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)