2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病の糖毒性に関与するタンパク質リン酸化制御分子の解析
Project/Area Number |
21770144
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
末吉 紀行 香川大学, 農学部, 准教授 (90346635)
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Keywords | マルチPK抗体 / 2型糖尿病 / プロテインキナーゼ / 糖毒性 |
Research Abstract |
本研究では2型糖尿病の発症メカニズムを解明するために、プロテインキナーゼ(PK)を網羅的に検出できる抗体(マルチPK抗体)を用いて、2型糖尿病に関与していると考えられるPKを探索した。マルチPK抗体を用いたウエスタンブロッティングにより、2型糖尿病のモデル動物であるOLETFラットとコントロールラットのLETOの各臓器に発現するPKのプロファイリングを行い比較したところ、膵臓に発現する58kDaのPKがOLETFラットでは減少していることが明らかとなった。この58kDaのPKについて、MicroRotoforで等電点を調べたところ、約5であった。分子量58kDaと等電点約5という情報をもとに、該当するPKをExPASy TagIdent toolで検索すると、インスリンシグナル経路に関わっているPKB alphaやストレス応答性キナーゼであるMAPKK5など24種類のPKが候補に挙がった。この58kDaのPKは、OLETFラットが糖尿病を発症する25週齢以降で減少していることから、糖尿病に関与している可能性がある。一方、ラットインスリノーマINS-1細胞の抽出液をマルチPK抗体を用いて解析したところ、インスリン分泌抑制(糖毒性)が起こる22.4mMグルコースで培養したときに発現量が増加する210kDaと170kDaのPKを検出した。これらのPKの分子量と、MicroRotoforにおける等電点(pI=6)に基づいたデータベース検索により、膜貫通型PKであるMRCKとROCKが候補に挙がった。本研究において、OLETFラットの膵臓およびINS-1細胞から2型糖尿病に関与していると思われるいくつかのPKが検出された。今後はこれらのPKを同定し、2型糖尿病の発症との関わりを明らかにする必要がある。
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