2009 Fiscal Year Annual Research Report
気管上皮細胞による流れのナノ計測に基づく計算流体力学研究
Project/Area Number |
21770158
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 裕則 Tohoku University, 国際高等研究教育機構, 助教 (70518240)
|
Keywords | 繊毛・鞭毛 / 気管上皮細胞 / ダイニン |
Research Abstract |
本研究課題では、気管上皮細胞の繊毛運動に着目して研究を行っている。呼吸によって取り込まれる吸気中には細菌やウィルスなどが多く含まれ、風邪や肺炎の原因となるが、これらは気管・気管支上の粘液でトラップされ、繊毛運動によって常に肺から咽頭側へ向かって排出されている。この繊毛運動はダイニンと呼ばれるモーター分子が力を発生させることによって、駆動されているが、この繊毛運動によって、どのように効率的な流れを生み出しているのかはよく分かっていない。まず気管上皮細胞に無数に存在する繊毛のうちの1本が、どのように運動するのかを可視化した。繊毛1本に量子ドットを付け、その輝点をナノメートルの精度で追跡することによって1本の繊毛運動を捉える事が出来た。繊毛運動は一般的に、流れを生み出す「有効打」と、流れを与えないで元の位置に戻る「回復打」の2種類の運動を交互に行っているが、この変換機構がどのように行われるかは今まで分っていない。本研究により「繊毛運動がどのように効率的な流れを生み出すことができるのか?」という、根本的に重要な知見が得られると期待している。また、この繊毛運動によって得られる流れを可視化するため、気管上皮細胞の表面に蛍光粒子を乗せ、粒子がどのように輸送されるかを調べた。その結果、ほぼすべての粒子が確実に肺から咽頭側へ向かって輸送されており、繊毛細胞の表面では、粒子の輸送速度は速く、繊毛を持たない細胞(杯細胞)の表面では遅いという不均一な流れが存在していることが分った。
|
Research Products
(3 results)