2010 Fiscal Year Annual Research Report
気管上皮細胞による流れのナノ計測に基づく計算流体力学研究
Project/Area Number |
21770158
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 裕則 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (70518240)
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Keywords | 繊毛・鞭毛 / ダイニン / クライオ電子線トモグラフィー法 / 気管 |
Research Abstract |
真核生物の繊毛・鞭毛は、基本的に9+2構造と呼ばれる特徴的な構造をしており、数種類の分子モーター・ダイニンとそのレールである微小管の滑り運動によって引き起こされ、その結果細胞表面に一定方向の流れを生み出し、生体内での「移動」、「物質輸送」などに関わる。この繊毛・鞭毛は、哺乳類では気管上皮細胞の他、様々な器官・組織に存在しており、繊毛・鞭毛運動の欠失は呼吸器疾患などの原発性線毛機能不全症(PCD:primary ciliary dyskinesia)と総称される疾患の原因となる。しかし、この繊毛運動の詳細な運動機構のメカニズムは現在まで謎であった。本研究では、マウスの気管上皮細胞に力学的刺激を加えることにより繊毛を単離し、高純度、高密度の気管繊毛を回収する事に成功した。これら単離した気管繊毛をクライオ電子線トモグラフィー法と呼ばれる特殊な電子顕微鏡技術を用い、その3次元内部構造解析を行った。3次元構造解析の結果、気管繊毛内部構造には外腕ダイニン1種、内腕ダイニン8種が存在していることが確認され、他の単細胞真核生物の構造とよく一致している事が分かった。また、このダイニン分子の分布は繊毛内に9本存在する周辺微小管上に一様には分布していないことが判明した。このような知見や成果は、気管繊毛の運動に関わる創薬の開発や効率的な異物排除システムの提案、医学・生物学における基礎的知見として、様々な分野に関わる重要な結果であると考えている。
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Research Products
(1 results)