2009 Fiscal Year Annual Research Report
トランスサイレチン中性子結晶構造解析によるアミロイド繊維化の解明
Project/Area Number |
21770159
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
横山 武司 Ibaraki University, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学管連携研究員 (50524162)
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Keywords | 構造生物学 / 中性子結晶構造解析 / アミロイドーシス |
Research Abstract |
トランスサイレチンのアミロイド繊維化の仕組みを解明する為に、トランスサイレチンの単結晶を作成し、中性子構造解析を行いアミロイドーシス発症を分子レベルで考察する事が本研究の目的である。当初の計画通り、平成21年度は中性子回折実験に向けたサイロキシン非結合型トランスサイレチンの結晶化条件の検討、及び大型結晶作成を行った。過去の研究データとほぼ同一の硫酸アンモニウムの条件で結晶が析出する事が分かった一方で、ポリエチレングリコール等でも結晶が析出する事が判明した。これらの単結晶を用いてX線結晶構造解析を行った結果、Wilson plot B factorが最も低いのは硫酸アンモニウム条件で得た結晶(=17Å^2)であったので、この条件を用いてサイロキシン非結合型大型結晶化を行った。大型結晶化にはシッティングドロップ蒸気拡散法を用い、リザーバー溶液4mLに対してタンパク質・沈殿剤混合溶液300μLを蒸気拡散法によってタンパク質濃度勾配を作り結晶を析出させた。現段階で大きさがおよそ1.2mm^3~2.5mm^3程度の結晶の作成に成功しており、これらの大きさは中性子回折データを得られる可能性を十分に見込めるものである。また中性子回折実験では水素の非干渉性散乱によるバックグラウンドの増加を抑える為にタンパク質結晶の重水素化が必要であるが、作成した結晶は溶媒の変化に非常に脆く、重水素置換を行うと結晶が割れてしまう事が分かった。そこで上記結晶化条件に使用した試料を全て重水素化されたものを使用する事で、これらの問題を解決した。重水素試薬で作成した結晶の大きさは現在の段階で1.5mm^3程度であり、これも中性子回折データを収集する為の最低限の大きさをクリアしている。来年度はこれらの結晶の中性子回折実験を行い構造解析を行うと共に、サイロキシン結合型の結晶作成を行う。
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