2009 Fiscal Year Annual Research Report
二光子励起法を用いた神経細胞スパインの形態可塑性とカルシウム動態の研究
Project/Area Number |
21770161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 惠 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (80302610)
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Keywords | 脳・神経 / イメージング / ケージド化合物 / 二光子励起 |
Research Abstract |
海馬錐体細胞では,シナプス長期増強に伴って樹状突起スパインの形態可塑性(増大)が起きることが知られている。ケージドグルタミン酸(MNI-glutamate)をスパイン近傍で2光子アンケージすることにより,単一のスパインに選択的に形態可塑性を引き起こすことが可能である。はじめにカルシウム指示薬を細胞内に負荷して,刺激時のカルシウム動態と形態可塑性の関係を解析した。比較的親和性の高いカルシウム指示薬(Fluo-5F)を負荷した場合,スパイン増大が起きにくい傾向があったが,親和性の低いカルシウム指示薬(Oregon Green 488 BAPTA-5N)の負荷時には,無負荷時と同程度にスパイン増大が生じた。Mg^<2+>を含まない細胞外液中でケージドグルタミン酸を反復してアンケージした場合(シナプス単独刺激条件),スパインで強いカルシウム上昇が記録された。カルシウム上昇の強さとスパイン増大の程度には相関がみられた。カルシウム上昇はNMDA受容体を介した流入により生じ,流入したカルシウムの一部は樹状突起幹へ拡散していた。一方,Mg^<2+>を含む細胞外液中で,ケージドグルタミン酸のアンケージをシナプス後細胞の発火と組み合わせて行った場合(同期発火刺激条件),刺激時のカルシウム上昇は比較的弱かったが,このカルシウム上昇にもNMDA受容体を介した流入が最も寄与していると考えられた。さらにケージドカルシウムを細胞内に負荷してスパインでアンケージするとスパイン増大が生じたことから,スパインのカルシウム上昇がスパイン増大を引き起こすのに十分であることが示された。
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Research Products
(2 results)