2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規NMR解析法を用いたアミロイド線維の過渡的中間体の構造解析
Project/Area Number |
21770169
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 一正 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (10403015)
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Keywords | 蛋白質 / 生物物理 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本計画の目的は、β_2ミクログロブリン(β2m)のアミロイド線維形成中に現れる、過渡的な線維末端中間体のキャラクタリゼーションである。申請者は以下の4つのNMR解析法、1.重水素交換モノマーモニタリング、II.緩和分散法、III.飽和移動差スベクトル法、IV.常磁性緩和促進法、を用いることでアミロイド線維速度論的中間体のキャラクタリゼーションが可能だと考えた。今年度は本計画の最終年度であり、全ての手法において、測定、解析を終了する予定であった。結果的にはI、II、IIIは測定と解析を終了し、全ての結果をまとめて論文執筆中である。IVは途中で実験進行が困難と判断し、本期間中での実験継続を中止した。 β2mは酸性条件下でアミロイド線維を形成する。従来の研究から、β2mはこの条件で部分的に構造を持つ状態をとるため、この部分構造状態がアミロイド線維の前駆体だと考えられていた。本計画の実験から得られた結果から以下のことが分かった。まず酸変性条件下で、β2m部分構造状態と完全変性状態との構造転換をしていることが分かった。まだ、部分構造状態に重要な残基が線維核との相互作用にも重要であることが分かった。これらの結果から、部分構造状態が完全変性状態に一度ほどけ、その状態で線維核に相互作用すること、つまり、完全変性状態の方が真の前駆体だということが示唆された。このような反応機構は他の蛋白質のアミロイド線維形成機構にも共通である可能性があり、より一般的なアミロイド線維形成機構の理解につながると考えられる。
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[Journal Article] Kinetic Intermediates of β2-Microglobulin Fibril Elongation Probed by Pulse-Labeling H/D Exchange Combined with NMR Analysis2011
Author(s)
Konuma, T., Chatani, E., Yagi, M., Sakurai, K., Ikegami, T., Naiki, H., Goto, Y.
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Journal Title
Journal of Molecular Biology
Volume: 405
Pages: 851-862
Peer Reviewed
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[Journal Article] Pre-Steady-State Kinetic Analysis of the Elongation of Amyloid Fibrils of β2-Microglobulin with Tryptophan Mutagenesis2010
Author(s)
Chatani, E., Ohnishi, R., Konuma, T., Sakurai, K., Naiki, H., Goto, Y.
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Journal Title
Journal of Molecular Biology
Volume: 400
Pages: 1057-1066
Peer Reviewed
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[Journal Article] Direct Observation of Minimum-Sized Amyloid Fibrils Using Solution NMR Spectroscopy2010
Author(s)
Yoshimura, Y., Sakurai, K., Lee, YH, Ikegami, T, Chatani, E., Naiki, H, Goto, Y.
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Journal Title
Protein Science
Volume: 12
Pages: 2347-2355
Peer Reviewed
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