2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規一分子蛍光法による天然変性蛋白質の基質認識機構の解明
Project/Area Number |
21770173
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌形 清人 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (90432492)
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Keywords | 一分子測定 / イメージング / 天然変性蛋白質 / ダイナミクス / 基質 |
Research Abstract |
本研究は、基質の認識に伴う天然変性蛋白質の構造変化を一分子レベルで観測し、その基質認識機構を明らかにすることを目的としている。21年度は、申請者が開発した新規一分子観測装置を使用し、変性した蛋白質(チトクロムc)の物性(構造の多様性とその運動性)を測定した。チトクロムcには蛍光色素をつけ、その色素の強度変動を観測することで、蛋白質の構造とその運動性を調べることが可能になる。様々な変性条件で、30以上の蛍光強度の時系列データを得た。データを解析した結果、変性した蛋白質は、動的な構造多様性を持つことが明らかになった。この測定は従来の蛋白質の変性状態の測定であるが、天然変性蛋白質でも同様の特定の構造があると推測される。次に、一分子観測装置を使用し、基質結合に伴う糖質関連蛋白質の構造変化を測定した。上記と同様に、蛋白質に付加した蛍光色素の蛍光強度変化を測定し、基質結合過程を測定した。解析の結果、基質の非存在下で、蛋白質の開閉運動がミリ秒の時間領域で観測された。基質結合時間と比較し、観測された運動が遅いことから、この蛋白質は、induced fit型の基質結合様式を持つことが示唆された。天然変性蛋白質は基質がない状況下で特定の構造を持たないことから、同様のinduced fit型の基質結合様式をもつと推定される。最後に、申請者が開発した一分子装置にダイクロイックミラーを配置し、2色同時測定を可能にした。今後、基質と天然変性蛋白質の構造変化の同時イメージングや2つの蛍光色素を付加した蛋白質の内部運動のイメージングが可能になり、一分子レベルでの基質認識過程の観察とその機構の解明を目指す。
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