2010 Fiscal Year Annual Research Report
PASドメインタンパク質の多様な情報伝達は共通の機構で駆動しているか?
Project/Area Number |
21770175
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 洋一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (40332770)
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Keywords | 光生物学 / シグナル伝達 / PASドメイン / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
PASドメインタンパク質の機能発現機構の駆動原理の提示を行うため、青色光受容タンパク質のPYPタンパク質をモデルとして、PASドメイン共通構造に内在するタンパク質構造変化様式を明らかすることを目的にした。平成22年度は、1)PYPの種類による補欠分子の吸収スペクトルの違いを生む、タンパク質部位の同定を、2種類のPYP(Halorhodospira halophila由来PYPとRhodobacter capsulatus由来PYP)のキメラ配列変異体を用いて行った。さらに、2)PYP活性化状態の構造学的解析のための、複合体状態の溶液構造解析の基盤として、相互作用タンパク質自身の溶液構造解析を行った。その結果、PYPの種類による補欠分子の性質の制御は、構造的基盤を形成する、C末端部位ベータシート構造が主に担っており、この部位とN末端領域の配列によって、補欠分子の吸収スペクトルや、光反応サイクルの寿命を制御していることが明らかになった。また、相互作用タンパク質自身は、溶液中で異方性の強い2量体構造で存在していることが明らかになった。この相互作用タンパク質については、相同タンパク質は現在のところ存在せず、さらなる構造解析へ向けた結晶化の取り組みを行い、微小結晶を得ることができた。相互作用においても、N末端領域の重要性は前年度に明らかになっている。以上のことから、異なるPYP種における補欠分子の性質の違いは、補欠分子の結合部位のみに依存するのではなく、タンパク質全体の構造に由来している。個々のタンパク質領域の機能的役割には相同性が見られ、共通の分子基盤の上に成り立っていることが考えられる。
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Research Products
(3 results)