2009 Fiscal Year Annual Research Report
microRNA複合体形成経路の解析とそれに基づく標的の生化学的同定
Project/Area Number |
21770184
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川俣 朋子 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (70435527)
|
Keywords | small RNA / microRNA / RISC / Argonaute / non-coding RNA |
Research Abstract |
タンパク質をコードしないマイクロRNA(microRNA)は、内在性の小さなRNAである。microRNAは、RISCを介して標的mRNAと結合することで、その標的自身の翻訳を抑制する。RISCの中で最も重要な機能を担う分子は、Argonauteタンパク質である。miRNAの真の標的mRNAを同定するためには、ArgonauteがmiRNA二本鎖を取り込み、標的mRNAを認識するまでの各素過程について、small RNAの構造とArgonauteタンパク質の構造の両面から解析し、生化学的な特性を明らかにすることが不可欠である。今年度は、1)miRNAは、どのような機構でmiRNAがArgonauteに取り込まれていくのかについて、また、2)miRNAによる標的認識機構について、申請者がこれまで開発してきたネイティブゲルシステムを利用して解析してきた。 miRNAがArgouanteに取り込まれるためには、miRNAのガイド鎖の5'リン酸基が最も重要であることが明らかになった。パッセンジャー鎖にのみ5'リン酸基をもつmiRNA二本鎖を用いると、ガイド鎖でなくパッセンジャー鎖が最終的にガイド鎖として保持された。また、microRNA経路の場合、Argonauteは、標的mRNAと「部分的に相補的に」結合する。そこで、microRNAと標的mRNAが一定のルールに基づいて塩基対を形成しているかどうかを調べ、RISCと標的mRNAの結合強度を調べる実験を行った。これまでに、seedとよばれる部分(miRNAのガイド鎖の5'末端から数えて2-8番目の領域)が、標的の認識に重要であることがわかっている。そこで、標的mRNAのターゲット配列部分にミスマッチを導入し、標的mRNAとRISCの結合強度を生化学的に解析した結果、今回新たに、3'-midとよばれる部分(ガイド鎖の5'末端から数えて12-16番目の領域)が完全に相補的であれば.seed部分にミスマッチが存在しても、標的mRNAと安定に結合出来ることを見いだした。また、中心部分にのみ存在するミスマッチは、標的の認識に寄与しないことも明らかにした。以上の事実は、最近明らかにされた細菌のArgonaute結晶構造解析から得られた知見とよく一致するものであった。
|
Research Products
(2 results)