2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンクラスタリングによる骨格筋分化制御機構の解明
Project/Area Number |
21770188
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大川 恭行 Kyushu University, 医学研究院, 特任准教授 (80448430)
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Keywords | Brg1 / RNA factory / ジーンクラスタリング / 骨格筋分化 |
Research Abstract |
骨格筋分化をモデル系として、細胞分化の一定時期に、遺伝子座が核内で集積するジーンクラスタリング現象を見出してきた。この形成にかかわる因子を生化学的手法を用いて探索したところ、いくつかのクロマチンリモデリング因子関連因子を同定した。特に、Brg1クロマチンリモデリング因子の活性化を抑止した細胞では遺伝子近接現象が消失し、且つ骨格筋分化も抑制された。そこで、Brg1を起点とするジーンクラスタリング現象について更に解析を進めることとした。その結果、Brg1の活性化を抑制した場合、(1)分化初期に認められるジーンクラスタリングがおこらない(2)その後RNA factoryの形成も阻害される、ことが明らかとなった。これは転写においてジーンクラスタリングが、転写そのものを制御しているわけではなく、転写開始以前になんらかの高次制御を行っていることを示唆している。そこで更に、我々はギガシークエンサーを応用した新たなアプローチを樹立し、バイアスなしにゲノムワイドなジーンクラスタリング現象の把握が可能となった。その結果、骨格筋分化段階特異的な遺伝子座近接部位がゲノム上に存在すること、その多くが遺伝子のプロモーターもしくは他の制御領域に位置していることが明らかとなった。また、逆に細胞を問わず、常に他の遺伝子と近接している領域が存在しておりこれら領域がさまざまな遺伝子群の発現制御に関わっていることが示唆された。また興味深いことに現在アノテーション情報が付与されていない一方で、他の動物種であるヒト、ラットで保存性が高い領域が多く同定された。また、可視化による検討としてDNA-FISHにより遺伝子座近接の検証を行った。予備実験の結果近接が3Cによって確認された筋クレアチンキナーゼ遺伝子座と筋アクチン1の遺伝子座の近接について評価した。その結果、骨格筋細胞のみ、両遺伝子座の近接が2-4%の割合で確認できたのに対し、非筋系ではゼロであった。以上のことから、遺伝子座近接現象がクロマチン構造変換と密接に関わりながら骨格筋分化における転写制御を、極めて初期の段階より制御していることが示唆された。
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