2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンクラスタリングによる骨格筋分化制御機構の解明
Project/Area Number |
21770188
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大川 恭行 九州大学, 医学研究院, 特別准教授 (80448430)
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Keywords | ジーンクラスタリング / 高次クロマチン構造 / 骨格筋分化 |
Research Abstract |
これまでに骨格筋分化をモデル系として、細胞分化の一定時期に、遺伝子座が核内で集積するジーンクラスタリング現象を見出してきた。この形成にかかわる因子を、生化学的手法を用いて探索したところ、いくつかのクロマチンリモデリング因子関連因子を同定した。さらに、ゲノムレベルでのジーンクラスタリングを解析するため我々はギガシークエンサーを応用した新たなアプローチを樹立し、バイアスなしにゲノムワイドなジーンクラスタリング現象の把握が可能となった。その結果、骨格筋分化段階特異的な遺伝子座近接部位がゲノム上に存在すること、その多くが遺伝子のプロモーターもしくは他の制御領域に位置していることが明らかとなった。しかし、一方で、IIS型遠位制限酵素を用いたアプローチでは、マッピングされる領域が著しく制限されるため、解像度を高める必要があった。そこで、本プロジェクトでは新たに導入したニックトランスレーション法を併用することで、両端にマッピングされるリードの長さを70bp以上に高める手法を樹立し、高解像度なジーンクラスタリング解析法の確立を進めることとした。また、可視化による検討としてDNA-FISHにより、従来以上の網羅的な遺伝子座近接の検証を行った。3C-seqによって確認された筋クレアチンキナーゼ遺伝子座と筋アクチン1の遺伝子座の近接をはじめとして、Ank, Tmcclなどの遺伝子群について評価した。その結果、骨格筋細胞のみ、両遺伝子座の近接が8-10%の割合で確認できたのに対し、非筋系ではゼロであった。以上のことから、遺伝子座近接現象がクロマチン構造変換と密接に関わりながら骨格筋分化における転写制御していることが示唆された。
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