2010 Fiscal Year Annual Research Report
PAR-aPKCによるmRNAの局在化と翻訳制御機構の解明
Project/Area Number |
21770190
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
林 健二 横浜市立大学, 医学研究科, 博士研究員 (50512349)
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Keywords | PAR1b/MARK2 / Microtubule / Dendritic spine / +TIPs |
Research Abstract |
我々は、細胞の極性化の制御因子であるPAR-aPKC複合体が、神経細胞においてmRNA及び翻訳装置の局在化を担う可能性を検証することを目的として、本研究を開始した。現在までにmRNAの局在化がスパインの形態形成、維持に密接に関与することが明らかとなっている。そこで、PAR-aPKCシステムとmRNAの局在化との関連性を調べるために、海馬神経細胞のスパインの形態への影響を指標としたノックダウンのスクリーニングを行った。その結果、aPKCによりその活性が抑制されることが知られ、微小管の安定性に関わるPAR1bのノックダウンにより、スパインがフィロポディア様に変化することが明らかとなった。シナプス前終末との共染色などから、この構造変化はスパインの維持の異常によるものであり、さらに免疫染色法による解析で、PAR1bは通常、樹状突起、とりわけスパインに強い局在を示すことが明らかとなった。しかしながら、PAR1bによるmRNA、翻訳装置の局在化に対する作用、或いは分子間相互作用などを見出すことは出来なかった。 近年になり、微小管ダイナミクスによってアクチン骨格系の再編成を担うp140Capのスパイン内の局在化が制御され、そのことによりスパインの形態が維持されることが示されている(Jaworski J et al., Neuron 61, 85-100, 2009)。そこで我々は、PARlbの微小管制御因子という側面に着目し、PAR1bノックダウンによる微小管ダイナミクスへの影響を解析することにした。EB3-GFPを用いて神経細胞における微小管の挙動を解析してみると、予期した通り、PAR1bノックダウンでは微小管のダイナミクスが低下し、GFP-p140Capのスパイン内の局在が顕著に抑制されることを見出した。以上の結果から、PAR1bは微小管のダイナミクスを制御することで、スパインの形態維持に関わると結論した。
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Research Products
(2 results)